リレーコラム

「21世紀の優れた映画100選」

 2016年8月23日付けでBBCが「21世紀の優れた映画100選」というコラムを発表した。

リストを見るとマニアックな内容で 一般には馴染みの無い監督の作品が並ぶ。

どのような経緯でこのマニアックなリストが作られたのか興味が湧き調べてみた。

 

 BBCは以前、世界の62人の映画関係者にアンケートをして各自好きなアメリカ映画10本を選ばせ、

1位に10点、10位に1点と加点し、得点順に100本のアメリカ映画を選出した。その結果が

2015年7月20日付けの記事「最も優れたアメリカ映画100選」である。この100本のう

ち2000年以降に製作された作品はたったの6本しか無く、これはまさに映画界凋落の証ではないか、

という議論が各所で盛んに行われたようだ。

 

 そこで今回の企画が持ち上がる。2000年以降に発表された映画に限定して、各国の映画関係者に

好きな映画を選んでもらい、その内容が検証された。映画凋落説は否定され、「映画はdiversity(多様性)

を得て進化している」という結論となったようである。多様性がキーワードであればリストがマニアック

になるのは当然の成り行きかもしれないが・・・。

皆さんはどう思われるだろう。

 

 このリストを見ると、日本映画は宮崎駿の「千と千尋の神隠し」が4位にただ一本入っているだけである。

選者の国籍や人数の詳細をウェブ上に見いだす事はできなかったが、対象となったアジアの映画関係者の

数は恐らくかなり少ない。

前回の調査でも選者の国籍は欧米主体。ヨーロッパ以東はせいぜいインドまでで、さらに東方の国名は

無かったと思う。その辺を斟酌してこのリストを見る必要はあるだろう。今回の100本のリストから

独断で好みの監督を二名挙げる。

 

 一人はWes Anderson監督。1969年ヒューストン生まれの47歳。「グランドブダペストホテル」

(21位)「ザ・ロイヤルテネンバウムス」(68位)「ムーンライズキングダム」(95位)の3本が

ランクインした。

ランク外だが、キンクスの楽曲がサウンドトラックとして用いられているという理由で「ダージリン急行」

(2007)を観たのが最初だったが、独特のカラリとした作風に好感を持った。

 

 二人目はウォン・カーワイ監督。1958年上海生まれの58歳。5歳で香港へ移住、とある。

「ブエノスアイレス」の監督といえばご存知の方もいらっしゃるだろう。「花様年華」(2000)

が2位となる。

1位となったデヴィッド・リンチ監督の「マルホランド・ドライブ」(2001)をサスペンスの王道を

行く作品とするなら、この「花様年華」は渋い大人の恋愛ものである。この映画、なにしろ映像の色彩が

素晴らしい。昔のコダックのリバーサルフィルムの様な色。チェロの弦の調べと映像の調和に魅了される

作品である。残念ながらこの映画、当地のレンタルビデオ店には置かれていない。

ランク外だがタランティーノが絶賛したという「恋する惑星」(1994)はママスアンドパパスの楽曲

「夢のカリフォルニア」を効果的に用いた作品だ。トニー・レオン、金城武主演。

また木村拓哉、チャン・ツィーらが出演した「2046」(2004)は、チャン・ツィーの魅力で充満して

いる。

「花様年華」の劇中に登場する部屋番号がこの映画のタイトルになっている。

「花様年華」と「恋する惑星」のトニー・レオンを女性の貴方には是非ご覧になって頂きたいし、

あなたがもし男性なら、見るべきは「2046」のチャン・ツィーだろう。

 

 先日スコセッシ監督の「沈黙」をレイトショーで観た。終了がほぼ夜12時ということもあって観客は

私を含め4名。

遠藤周作の原作を読んでから観たのだが、原作に忠実に撮ろうとしたスコセッシの敬意といったものを感じた。

しかし時にそれは足かせともなる。原作をお読みなさい、と監督が言っているようにも感じられた。

台湾ロケだったようだが五島の碧い海ではむしろ作品のトーンが明るくなって印象が悪い方に変わる事だって

ある。

難しいものだ。

 時々訪れる映画館で思うのは、ポップコーン高くなったなあということ。それでもお約束なので必ず買う。

そして2回は種をガリリと噛んでヒヤリとするのである。充填したプラスチックが欠けたことがあるからだ。

皆様もどうかご注意頂きたい。    

 

文:M

 

 

参照 BBC:The 100 greatest American films / 20 July 2015

         BBC:The 21st century's 100 greatest films / 23 Aug 2016

このページの先頭に戻る