リレーコラム

火星年代記

去る11月29日NASAが打ち上げた火星探査機インサイトが火星表面に到達した。

この探査機が送って来た粉塵まみれの画像をご覧になった方も多いだろう。


 

この画像を見たとき私の脳裏に真っ先に浮かんだのはフィギュアスケートのメドベージェワ選手だ。

以前何処かで目にした彼女へのインタビューの中で愛読書を聞かれた彼女の答えが

「火星年代記」だったからである。インタビューの中で彼女は学校の成績は良かったと答えているが愛読書に

ブラッドベリを挙げるなど恐らく読書家なのだろう。それが彼女のあの表現力を支えている要素の一つだと

しても誤りではない気がする。単なるアニメオタクではあるまい。ロシアはソ連時代には政府や圧政

を強いる為政者を文学の中で植物園やカエルなどになぞらえたりする事で批判し検閲を免れて来た

事情があるから思いのほか人々の文学的素養は深く、メタファーを理解する素地もある。

レイ・ブラッドベリによるこの作品はSFファンにとってはまさしく金字塔であり、会社経営の第一線を退いた

星新一が病床でこの作品を読んだ事が契機となり作家になったという話は有名である。

内容についてはこれからお読みになる方のために割愛するがこのほか「華氏451度」という作品は1966

年にフランソワ・トリュフォーによって映画化されているし、本年9月には横浜で演出・白井晃、

長塚圭史・台本により舞台化もされている。

何故今ブラッドベリなのか。政治的閉塞感からブラッドベリが理想とした世界観を希求する人が増えたとして

も不思議ではないのだが・・・。

 

火星のどこかに秋田。秋田のどこかに火星。

 

ウェブサイトでブラッドベリの50代の肖像写真を見たが素晴らしい歯並びをしている。私には歯のいい人は長生きできるのではないかという固定観念がある。  

 

文:M

このページの先頭に戻る