歯科医師コラム

やればできる むし歯予防

'14.07.15

毎年春になると、学校での歯科健診が行われます。自分が校医の小学校は、昭和40年代は1学年4クラス、全校生徒で1,000名ほどが通う大規模な小学校でしたが、驚いたことに今年の新入生は35名で1クラスでした。先生によれば、少子化の影響と学区の再編により周囲の学校に「割譲」されたこと(その結果、通学距離が長くなった町内もあります)、近年隣の学校が新築され、学区の周辺地域の子供さんは、築30年の老朽化した学校より新築の学校を選ぶ傾向があるとのことで、隔世の感を感じ得ません。
歯科健診のたびに、年々う蝕(むし歯)の減少が顕著で有ることが実感されます。全校生徒でむし歯が顕著な生徒は両手で数えられる程で、低学年ではむし歯ゼロの生徒も半数近くに増加しています。
う蝕の減少の大きな要因として、秋田県が平成16年から開始したフッ化物洗口事業「お口ぶくぶく大作戦」が、県内の各市町村で事業化され、幼稚園・保育園から小中学校まで全域に定着したことが考えられます。
平成23年度から当市でもフッ化物洗口が事業化され、小学校の実施率は90%を超えています。秋田県内では平成24年3月現在でフッ化物洗口を実施しているのは381施設41.799名で、この人数は全国で約90万人が実施している中で県別では、愛知121,629名、京都96,804名、新潟93、002名、佐賀63,152名に次いで全国5番目となっています。
また、12歳児の一人平均むし歯数も秋田県は平成18年には2.4本(全国44位)であったものが、22年には平成1.9本(同38位)、平成25年には1.3本(同34位)と明らかな減少が認められます。平成25年のデータで最も少ないのは新潟県で0.6本、一人平均1本未満が15府県あり、東北では山形0.8本に次いで、秋田・岩手が1.3本、青森・宮城1.4本、福島が1.5本という結果でした。むし歯予防は地域における健康づくりの行政や学校と一緒に取り組んできた成果だと思います。そろそろ、秋田の県民性と言われる「おれもやらねから、おめもやるな」から脱却するチャンスかも知れません。