歯科医師コラム

子供の力

'16.06.15

 6月4日の秋田魁新報に歯と口の健康週間の全面広告が掲載されていました。フッ化物洗口事業などの成果により12歳児(中学1年)の一人平均むし歯本数が、平成19年の2.5本から平成27年には1.1本に減少しました。

 実際に自分が担当している小学校の歯科検診でもむし歯の減少は実感していますが、中には、歯の形も分からないようなむし歯の進行した児童も稀に見られます。諸事情があるのでしょうが、よく痛みに耐えられるものだと思わされます。

 同日の秋田魁新報の一面には、北海道の不明男児が6日ぶりに保護されたことがトップ記事になっていました。父親にしつけとして山の中に置き去りにされ、その後行方不明となったことが報道されていました。父親の証言が二転三転し、各家庭での「しつけ」が問題視され、長引く捜索により最悪の事態も予想されていました。幸いにも自衛隊演習場の小屋で無事に発見されほっとしました。

 行方不明になった後、テレビのワイドショーでも連日のように放送されていましたが、報道によると、置き去りにされた当日に山道約10キロを踏破し運良く小屋にたどり着き、6日間、小屋にあったマットで暖を取りながら水道水を飲んで助けを待っていたとのことです。暗い夜道をパニックにならずに歩き続け、偶然にも正しい分かれ道の方を選んだこと、さらに、動き回らずにその小屋で助けを待つという一連の行動は、とても7歳児とは思えない「力」のようなものを感じます。

 報道されていないことは多々あるでしょうが、日ハムの野球帽を被ったあどけない表情の写真が輝いて見えます。

 

文:アニマル