歯科医師コラム

チューリップ

'20.05.15

 花壇にチューリップの花が咲いた。ピンクと白の2色が風に揺れてユラユラする姿が可愛らしい。

 昨秋、配色や向きを想像しながら小学生の娘と30個程の球根を植えたものだ。

 例年であれば60cm以上の雪が積もる花壇だが、この冬は大した積雪もなく雪解けの感慨も無いまま春になり、チューリップのことなどすっかり忘れていたある日、緑色の葉が土から顔を覗かせていることに気がついた。

 雪こそ無いものの、むしろ放射冷却で気温は低い。こんなに寒いうちから顔を出して大丈夫?凍っちゃわないかしらとの心配をよそに、その後もグングンと大きくなり、ついに立派な花を咲かせてくれた。

 切花では気づかないが、地植えのチューリップは朝になると花を開き、夜になると閉じる。晴れると開き、雨が降るとまた閉じる。
可愛いだけではなく、なんともいじらしく、力強い生命力を感じさせてくれる。

 チューリップは寒い冬を経験させないと大きな花をつけないと聞いたことがある。

 今、私たちもかつて無い苦難に直面し、日々緊張を強いられる中で生活を続けている。

 例年であればたくさんの新入生達の顔を見られる学校歯科検診も中止され、娘は毎日マスクを着けて登校している。

 子供達がこの不穏な状況を無事に乗り切り、こんな経験をも糧として力強く花咲かせることを願ってやまない。

文:K