歯科医師コラム

銀歯の危機

'22.03.16

奥歯の治療をすると、保険の治療では、最後に銀歯のかぶせ物を入れることが一般的です。
この銀歯の材料に用いられている金属のひとつがパラジウムという金属です。
パラジウムという金属が加えられていることで、安全性に優れ、錆びにくく、そして強度に優れた銀歯を入れることができるのです。

しかし、このパラジウムが、今ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で価格が急上昇しているのです。なぜかというと、パラジウムの生産のほとんどがロシアによるものなのですが、ロシアへの経済制裁のためロシアからのパラジウムの供給が遮断されていることが理由です。
このことによって、銀歯のかぶせ物がより貴重なものになり、もしかすると銀歯を保険治療でかぶせられないという事態も起こりかねません。

私たちにできることは、なるべく銀歯をかぶせなくてもいいように、虫歯予防に取り組んでいくことが大切です。歯科医院での定期健診やメンテナンスは、これから、より一層大切になっていくでしょう。

一日も早いウクライナ侵攻の終結と、これ以上犠牲になる人々が続かないことを心から祈ります。

文: フィユ